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祭りのあと:そして『46通知』が通達された

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前回ご紹介した、ノーベル賞科学者であるライナス・ポーリング博士が取り組んだ「メガビタミンC研究」は、1970年(昭和45年)に『ビタミンCと感冒』、そして『癌とビタミンC』の二つの著作が発表されて世界的な大ブームを起こしました。

しかし同時にそのセンセーショナルな販売方法を模倣した、高額な健康食品が『雨後のたけのこ』のように現れてきました。

つまり「これを飲めば特定部位や病気が治る」と言った宣伝文句が乱発されたのです。

大元であるポーリング博士は医師と協力して臨床試験を行いましたが、残念ながらそのようなエビデンス(科学的根拠)がないにも拘らず「癌が治る」などの触れ込みで販売し、病気になった患者さんたちの多くが藁をもつかむ思いで高額商品を購入するという事態が発生したのです。

当然このような状況は、深刻な問題を招く可能性をはらんでいました。

『46通知』発表

そして、翌1971年(昭和46年) 6月1日に厚生省薬務局(当時)より、通称『46通知(よんろくつうち)』と呼ばれる『無承認無許可医薬品の指導取締りについて』が地方自治体に向けて通知されます。

ここに、薬事法を取り締まるガイドラインとして、医薬品と食品の区分が明文化されたのです。

序文を読むと、当時の様子がうかがい知れますので引用します。

「昨今、その本質、形状、表示された効能効果、用法用量等から判断して医薬品とみなされるべき物が、食品の名目のもとに製造(輸入を含む。以下同じ )販売されている事例が少なからずみうけられている。
かかる製品は、薬事法上医薬品として、その製造、販売、品質、表示、広告等について必要な規制を受けるべきものであるにもかかわらず、食品の名目で製造販売されているため、
(1) 万病に あるいは 特定疾病に効果があるかのごとく表示広告されることにより、これを信じて服用する一般消費者に、正しい医療を受ける機会を失わせ、疾病を悪化させるなど、保健衛生上の危害を生じさせる、
(2) 不良品及び偽薬品が製造販売される、
(3) 一般人の間に存在する医薬品及び食品に対する概念を崩壊させ、医薬品の正しい使用が損われ、ひいては、医薬品に対する不信感を生じさせる、
(4) 高貴な成分を配合しているかのごとく、あるいは特殊な方法により製造したかのごとく表示広告して、高価な価格を設定し、一般消費者に不当な経済的負担を負わせる、
等の弊害をもたらすおそれのある事例がみられている。」

(※全文はこちらをご確認ください。
無承認無許可医薬品の指導取締りについて

このように、取締りを受けるような行き過ぎた販売方法は、「健康食品はアヤシイ」というマイナスイメージを植えつけるようになっていきます。

それでもブームは繰り返す

上記の『46通知』は各地方自治体に対して、このようなケースは薬事法違反で取り締りなさいという通知書です。

もちろん一般消費者がそんな文書を読むはずもなく、健康情報に敏感になった大衆とメディアは、次なるドジョウを求めていきます。それがいかにも珍しい未知のもので、からだに良さそうな情報なら大歓迎でした。

それが1974年(昭和49年)に出版された『紅茶キノコ健康法』で知られることとなった『紅茶キノコ』ブームです。

Kombucha jar
『紅茶キノコ』とは、モンゴル原産、シベリア地方の伝統的な発酵飲料で、キノコのように見えるセルロースゲルを紅茶、もしくは緑茶に砂糖を加えて、12日~14日ほど漬け込んで発酵させるもので、家庭でも簡単に栽培できるので、口コミ的なブームとなったそうです。

余談ですが、欧米ではなぜか「Kombucha」として間違って広まったようで、現在アメリカで売られていて、セレブが愛用しているといわれている「Kombucha」は、我々の知る「昆布茶」とは全くの別物です。

「流行は繰り返す」と言いますが、古今東西回りまわって、実におもしろいものですね。
一過性のブームはいつか忘れ去られていきますが、また不意に流行りだすので、恐らく多くの人々がその祭りの熱狂を楽しんでいるのかもしれません。

今回のまとめ

ビタミンブームで火がついた健康食品市場は、医薬品を標榜するような販売方法が出回り、厚生省より『46通知』が明文化されることとなった。

それでも大衆の健康ブームは手を替え品を替え、広まっていくこととなる。


参照:
ウィキペディア:「紅茶キノコ

厚生労働省「無承認無許可医薬品の指導取締りについて


最後までお読みいただきありがとうございました。
次回もお付き合いいただけると幸甚です。

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