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締め付けと緩和:機能性食品への道筋

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前回ご紹介した健康とグルメブームに沸いた1980年代のど真ん中、1984年(昭和59年)は健康食品業界にとって重要な年でした。

今回はそのターニングポイントとなった1984年から始まった、取締りと規制緩和について取り上げて参ります。
どうぞ最後までお付き合いください。

薬事法違反についての取り締まり強化

1982年(昭和52年)に薬事法違反で最高裁まで争われた「つかれ酢」裁判の有罪判決が確定し、以後の取締りの法的根拠となりました。
以下、薬事法違反として明文化された判例です。(原文ママ)

一 薬事法二条一項二号にいう「医薬品」とは、その物の成分、形状、名称、その物に表示された使用目的・効能効果・用法用量、販売方法、その際の演述・宣伝などを総合して、その物が通常人の理解において「人又は動物の疾病の診断、治療又は予防に使用されることが目的とされている」と認められるものをいい、これが客観的に薬理作用を有するものであるか否かを問わない。このように解しても、憲法三一条、二一条一項、二二条一項に違反しない。

二 その名称、形状が一般の医薬品に類似している本体「つかれず」及び「つかれず粒」(いずれもクエン酸又はクエン酸ナトリウムを主成分とする白色粉末又は錠剤)は、たとえその主成分が、一般に食品として通用しているレモン酢や梅酢のそれと同一であつて、人体に対し有益無害なものであるとしても、これを、高血圧、糖尿病、低血圧、貧血、リユウマチ等に良く効く旨その効能効果を演述・宣伝して販売したときは、薬事法二条一項二号にいう「医薬品」にあたる。

この判例は、それまでグレーゾーンとして混沌としていた『いわゆる健康食品』の販売方法に対して、ある程度のガイドラインを示す必要性を示唆していました。

そこで、1984年経済企画庁(当時)は、厚生省(当時)、農林水産省、公正取引委員会に呼びかけて作成した『健康食品の販売などに関する総合実態調査結果』を発表しました。

この調査結果を受けて、厚生省薬務局より全国の衛生主管部(局)に向けて『無承認無許可医薬品の指導取締りの徹底について』が通達されます。

この内容はチラシやパンフレットなどの販売活動に使用するすべての資料に対しても、薬事法違反がないかの確認を徹底するものであり、あたかも疾病が治癒したかのような「体験談」なども指導対象となりました。

また同時に取り締まり強化対象の販売資料が、新聞、雑誌等の広告を見て請求した消費者へ送られていたということで、新聞協会や民間放送連盟等のメディア団体の会長に向けても、協力を要請する文書を送っています。

これは一見厳しいようではありますが、もはや無視できなくなった「健康食品」の存在をある程度認め、健全化に向けてコントロールしたいという布石でもありました。

規制緩和に向けてのプロジェクト始動

「飴と鞭」という言葉があるように、国家運営においてはしばしば国民懐柔策として、締め付けと緩和を同時に行うことがあります。

今回の場合、薬事法の取り締まり強化と平行して、従来まで医薬品にしか認めてこなかった栄養機能表示を、健康食品を含めた一般食品に拡大する検討会が発足します。

それが、厚生省内に新設された「健康食品対策室」と文部省(当時)による「機能性食品」の特定研究のスタートでした。

東京大学農学部の荒井綜一博士を中心に文部省で発足した「食品機能の系統的解析と展開(1984年~1986年)」研究は、『食品の機能』として、3つの役割があると提唱します。

  1. 一次機能(栄養機能):生命維持のための栄養面の働き
  2. 二次機能(感覚機能):食事を楽しもうという味覚・感覚面の働き
  3. 三次機能(体調調節機能):生体の生理機能の変調を修復する働き

食品の機能

そして上記の三次機能を持つ食品のことを「生活習慣病の一次予防のはたらきをもつ新食品」とし、『機能性食品』と定義しました。

これは病気になってから掛かる医療や医薬品と違い、疾病予防、生活習慣病(当時は成人病と呼んでいた)予防の観点から食品を捉えなおすというかなり画期的な概念でした。

余談ですが、この概念を取り入れた『食品機能学』は、現在多くの大学で講座が設けられています。

前回の最後にお伝えしたように、この『機能性食品』の概念をコンセプトに商品化した『ファイブミニ』が1988年(昭和63年)に発売され、機能性飲料ブームが起こりました。

この文部省による研究結果を受けて、厚生省(当時)が1991年(平成3年)に、世界に先駆けた特定保健用食品、栄養機能食品の保健機能食品の制定へとつながっていきます。

1989年、繁栄の80年代が終わるのと同時に、敗戦と復興という動乱の「昭和」が幕を閉じました。

平成を迎えるとバブルが崩壊し、日本は長く続く不況に迷い込みます。

しかしながら、奇しくも健康食品業界はそれに反発するように大きな成長カーブを描いていくのでした。

この歴史の旅もいよいよ佳境に近づいてきました。次回は「躍進する90年代」について取り上げます。

今回のまとめ

1984年(昭和59年)に文部省で発足した「機能性食品」の特定研究は、食品の新たな概念を提示し、世界に先駆けた「保健機能食品」制度を制定するきっかけとなった

参照:
裁判所 最高裁判例「事件番号 昭和56(あ)58」

薬事日報社『健康食品取扱マニュアル第6版』P.447
「無償任務許可医薬品の指導取締りの徹底について」
「いわゆる健康食品に係る薬事法違反について」

文部科学省【5.成果 第1章 機能性成分等新たな健康の維持増進に関わる成分の分析に対するニーズ調査


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最後までお読みいただきありがとうございました。
次回もお付き合いいただけると幸甚です。

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