前回、前々回と2回に分けて二人の偉大な人物を取り上げました。
一人目は「カルピス」創業者の三島海雲氏、もう一人は「ヤクルト」創始者の代田稔氏です。
健康食品の歴史を辿るにあたって最初にこのお二人をご紹介したのは理由があります。
それはお二人の共通点に、健康食品ビジネスの『成功の条件』を感じたからです。
健康食品ビジネスの「成功の条件」
その条件とは、
- 「私心なき、利他の精神」という信念・哲学があったこと。
この「利他」とは、仏教の教えの一つで、「他者を思いやり、相手のために行動する慈悲の心」のことです。
リーダーがこの理念を徹底したからこそ、多くの人に愛される組織となったのです。 - ご本人が健康長寿であったこと。
三島氏は96歳、代田氏は82歳で天寿を全うされています。健康産業に従事する者が、「こころ」と「からだ」の両面において不健康であれば、商品や企業が人々から信用されるのは困難でしょう。 - 長く人々に愛される商品の三要素【(1)おいしく、(2)からだに良く、(3)経済的】を満たしていること。
いくらからだに良くても、おいしくなければ毎日続けられませんし、いくら商品を気に入っていても値段が高すぎれば買い続けることはできません。
商品をどのようなものにしていくらで販売するのかを決めるのは、販売事業者ご自身です。
だからこそ、条件1の「利他」を基本とした経営理念がなければ、例え一時は売れたとしても、継続的な展開がうまくいかず、どんどん方向性がぶれていってしまう。結果、短命で終わってしまうことが多々あります。
ビジネスの世界で生き残るのは本当に難しいものです。積み上げてきたブランドの信用も、ちょっとした対応を間違えただけで批判され、不買を起こし、やがて忘れ去られます。
その中でも確固たるブランドを築き上げた「カルピス」と「ヤクルト」を生んだお二人は、最高のお手本となると考えました。
「健康食品」はどう在るべきか
そして、この偉大な二つの商品は「健康食品」がどうあるべきかについての示唆を与えてくれます。
それは、前回「ヤクルト」の「代田イズム」でもご紹介した「予防医学」という考え方です。
そのためには、生活習慣に気をつける必要があり、健康な生活を送るための知識を得て、良い習慣は継続して伸ばし、足りない部分は新しく補うというのが理想です。
「健康食品」は『健康の三原則』である、「栄養」、「運動」、「休養(睡眠)」のうちの、「栄養=食生活」において、新しい提案を担っているのです。
20世紀は科学工業技術革新により、大量生産、大量消費を可能にし、その圧倒的な力の保持が、戦争に発展してしまう悲劇もありました。しかしそれと同時に、医学や栄養学も飛躍的な進歩を遂げて行ったのです。
ちょうど三島氏と代田博士が「乳酸菌」に情熱を注いで研究したように、世界中で様々な研究が行われ、その情報によって「健康食品」は市民権を得てきたのです。
つまり、医学・栄養学などの研究発表による「情報」と「健康食品」は切っても切れない関係にあります。
そのことを踏まえた上で、次回より健康ブームとその時代背景を中心に見ながら、タイムマシンを進めていこうではありませんか。
次回もお付き合いいただけると幸甚です。
今回のまとめ
1. 「私心なき、利他の精神」につながる理念があり
2. リーダーが心身ともに健康長寿であり
3. 【(1)おいしく、(2)からだに良く、(3)経済的】という三要素を満たしている。「健康食品」は栄養情報と切っても切れない関係である。